第二話

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「ああもう、めんどうくさいな。だいたい、ここまでするような依頼じゃないだろ。サクッと終わりそうだから受けたのに。ファイヤーで事足りたはずなのに」  と虎はぶつくさ前置きして、 「一応訊くけど、情報が手に入るまでが果てしなく面倒くさいけど後腐れないスジと、呆気なく情報は手に入るけどそのあとが果てしなく面倒くさいスジ、どっちがいい?」 「面倒くさくないスジはないのかよ」 「名字と携帯番号しか元手がないのに十五分だからな! 早ければ早いほど、面倒くさいし金もかかるんだよ!」 「金……どんくらい?」  経費ってあといくら残ってるんだっけ。 「いいよ! 金はもうおれが出すから!」 「じゃあ早いほうで」 「即答かよ! 一応訊いたからな! あとがまじ面倒くさいからな! 後悔しても知らないからな!」 「今の俺は、とにかく設楽とコンタクトとれるだけの情報がほしい」  あとの面倒くさいことは未来の俺に任せる。  虎はうなだれるようにため息をついて、端末を操作する。 「ちなみに、情報が手に入るまでが果てしなく面倒くさいスジってどんなスジ?」 「警察庁警備局公安課特別警備室室長」  予想をはるかにこえて地球の裏側までぶっ飛んだ答えが返ってきた。元殺し屋のくせになんでそんなツテ持ってんだよこいつ! 「じ、じゃあ、今キミが連絡取ろうとしてる、その国家権力より早く調べられてあとがめんどくさいスジってのは……?」  虎は端末を耳に当てて、地球の裏側から地中をばく進して戻ってきたような答えをしらっとのたまった。 「小学校の先生」  あれ? 小学校の先生ってこんな寒気がする職業だっけ?
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