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「葉月様」
女の呼ぶ声で、葉月は振り返った
「なんだ、お前か‥」
「そんなあからさまに残念な顔をなさらないで下さい」
「残念などと思っていないぞ!」
「左様でございますか、まぁよろしいですわ」
そう言うと、
女はニコリと葉月に微笑んだ。
「葉月様、帝がお呼びですわ」
「父君が?俺を?」
「はい、葉月様をと」
「ヘェ~そんな珍しい事もあるもんなんだな」
葉月は、窓辺に腰掛けていた体を
持ち上げてから
漆黒の長い髪を掻き上げて言った
「散歩に出かける」
「ですが、帝に」
女は葉月に詰め寄った。
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