第1話

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「葉月様」 女の呼ぶ声で、葉月は振り返った 「なんだ、お前か‥」 「そんなあからさまに残念な顔をなさらないで下さい」 「残念などと思っていないぞ!」 「左様でございますか、まぁよろしいですわ」 そう言うと、 女はニコリと葉月に微笑んだ。 「葉月様、帝がお呼びですわ」 「父君が?俺を?」 「はい、葉月様をと」 「ヘェ~そんな珍しい事もあるもんなんだな」 葉月は、窓辺に腰掛けていた体を 持ち上げてから 漆黒の長い髪を掻き上げて言った 「散歩に出かける」 「ですが、帝に」 女は葉月に詰め寄った。
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