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「それではお言葉に甘えて」
「何だか急にすみません」
杉野と竹下はいそいそとテーブルへと移った。
若い女性と老齢の女性はそれぞれ、立花杏里(タチバナ アンリ) 板戸蘭(バンコ ラン)と名乗った。杏里は資産家の娘であり、蘭は杏里が産まれる前から立花家に仕えているとの事であった。
男性陣は些か身分の違いに驚いたものの、暫くは杉野が張り切り、テーブルを大いに賑わせた。
加えて蘭と竹下は同じ広島県呉市の出身。杏里と杉野は同じ大学の教育学部出身だと分かり、妙な縁ですね、と親近感も合わさり楽しく時間が過ぎた。
「お二人とも面白いですね。じゃあ、いっぱい笑わせてもらったお礼に私からも面白い話をプレゼントしよっかな。
あっ、面白いっていってもファニーじゃなくてインタレスティングって意味ですよ?」
「なんすか? なんすか? めちゃ気になります」
「ふふ、ある種のクイズですよ。と言ってもこれは、今年のクリスマスに私の身近で起こったお話なんです」
「今年のクリスマスと言いますと確か……あぁ! どこのテレビ番組の天気予報でも、
『24日夜から25日の昼間にかけて大雪が降るでしょう』なんて言ってたのに、予報が大ハズレして話題になりましたな。
確か実際に雪が降ったのは、24日の夜9時から一時間程で、その後はさっぱり降らなかったですなぁ」
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