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「査察官である私に暴力を振るった事が公になったら、ただでは済まないんだよ……?」
「えぇ、査察官であるあなたに幼女趣味がある事が知れたら、ただでは済まないでしょうね……」
唖然とする私の頭上では、丁寧で穏やかな口調ながらも熾烈な舌戦が繰り広げられている。
「この件は後日、正式にソルヴァンセス伯爵に抗議させていただく事にしよう」
「どうぞご随意に」
ギヴァレーの紳士的な脅しを文句を最後に、終始笑顔のままで二人はようやく戦いを終えたようだ。
互いに一度も目を逸らす事なく、丁寧な一礼を交わし合う。
まるで目を逸らしたら負けという、暗黙のルールがあるようだ。
貴族の口喧嘩って怖い。
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