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レオニールの腕にしがみつきながらガタガタと震えていると、ギヴァレーがにっこりと微笑みかけて来る。
「またお会いしましょう、私の小鳥さん」
そう言って颯爽と踵を返し去って行った。
悠然と庭を後にして行くギヴァレーの背中を見送って、私は詰めていた息を吐き出す。
何だかよく分からないが、とにかく終わったようだ。
ほっと胸を撫で下ろした。
しかし安堵すると同時に、レオニールががばりとばかりに私に抱き着いて来る。
「何で供もつけずに一人で庭に出ているんだ? 攫われたらどうするんだ?!」
ぎゅうぎゅうと締め上げるように、私を抱く腕に力をこめた。
ぐはぁっ!
戦神の寵愛を受けたレオニールの渾身の抱擁に、私の背骨が悲鳴を上げる。
――ギブ!
そして何故自宅の庭に出るだけで、一々供をつけなければならないのか。
急速に薄れ行く意識の中で何やら喚いているレオニールの声を聞きながら、私は心底 「貴族って面倒臭い」 と思ったのだった。
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