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「ソルヴァンセス領には仕事で立ち寄ったのですが、そこで美しい小鳥と出会いましてね……」
無音の室内には、私の声と足音だけがこだましている。
何故なら返事の出来る者が、ここにはいないからだ。
しかしそれを知りながらも、私の口は止まらない。
そのまま最奥にある寝台に歩み寄ると、私はそこで足を止めた。
「お姉様も一目で気に入ると思いますよ」
薄紗のカーテンで覆われた天蓋付きの寝台の上には、小さな少女が眠っている。
漆黒の長い髪を扇状に散らし、微動だにする事なく仰臥している。
その肌に生気はなく、やや黄味がかった白色をしていた。
ひっそりと閉じられた瞼の先には長い睫毛があり、それが落ち窪んだ目許に濃い影を落としている。
この少女の名は、アルマンド・ギヴァレー。
八才のまま永遠に時を止めた、私の双子の姉だった。
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