断話2

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 私はアルマンドの枕元に木彫りの人形を置くと、室内を振り返る。  そしていつものように、カーテンの隙間から覗く窓の外に目を遣った。  そこから陽光を反射して煌めく、湖面を見る事が出来る。  この王都の本邸の裏には小さな湖があった。  冬になると分厚い氷が張り、子供の頃は姉と二人でよく遊んだものだ。  毛糸の靴下を二枚履いて、革靴で氷の上を歩くとつるつると滑る。  それが楽しくて、足先がしもやけになるまで遊んでいた。  しかし、そんな時に事件は起こった。  湖の氷が、一部だけ薄くなっていたのだ。
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