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「いやはやお若いの、この度は孫娘の"クー"が助けられたようで…感謝しますぞ。私はこの集落の長をしておる、"フリュール"と申します」
「……………」
深々と頭を下げる妙齢の女性、フリュールに青年はつられて頭を下げた。
「さて、聞けば丘の上で寝ていたとか…。察するに旅の途中といったところでしょう」
頭を上げて続けるフリュールの言葉に、青年は小さくではあるが頷いた。
「……。ふむ…、まぁ良い。今日はここに泊まっていきなされ。孫娘の命を助けて貰った訳じゃからの、一宿一飯では安すぎるかもだが…」
「…………………」
青年は一瞬考えるような仕草をして、それからまたゆっくりと頭を下げるのだった。
フリュールは満足げに頷いて、ここでようやく微笑んだ。
「夕餉(ゆうげ)まで時間がありますじゃ。ゆるりと過ごされよ…」
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