第三節

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 鬱蒼と茂る森の手前、その一角にて獣達の一匹が何かに反応し、激しく吠えた。 「おぉ! "そこ"かぃ!?」  無駄に大きな声で応える男はその獣の頭を一撫でし、その森の一角へと足を進める。  森と平原の境界に立った男が銀色の篭手に包まれた手を伸ばす。  そして、その手に伝わる薄絹の感覚に口元を歪ませた。 「みぃつけた…」  にぃっと見せたその犬歯は、普通の人間には無い鋭さを持っていた。
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