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「アンタが…このヴォルフ達の……アンタ誰……!!」
「……あぁん……?」
男は傾げていた首を僅かに持ち上げ、視線を声の方へと向けた。
その先に並ぶ二人の男女、怒りに震えるクーの声は、青年が剣を突きつけた時に上げた声とは違う、その表情を見ずとも憎しみが声から伝わるようだった。
そんな彼女の隣にて剣を構える青年もまた、その瞳に怒りを露わにして男を睨んでいる。
「……く、はっはぁ…! ぉお…なるほどなるほどぉ。訳は分かんねーまんまだが、とりあえず兄弟共をノした奴は分かったわ…」
そんなクーの声も青年の瞳も、男は一緒くたに流して小さく笑い、その顔に狂暴な、凶悪な笑みを浮かべた。
「オレっちの事を聞いたのはおじょーちゃんかぃ? オレっちは"ザンナ"。ここいらの地を統治する《白牙の国》の騎士団"白麗獣"の団長の一人さ。ヨロシクな?」
「…!? 《白牙の国》の……騎士団長…!?」
「………………」
ザンナと名乗った男にクーは目を見開いて驚き、青年は鋭い眼光を更に鋭く光らせた。
この時、青年の柄を握る手に力が込められた事を、彼以外誰も気付かなかった。
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