第四節

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 剣と篭手がぶつかる度に、橙色の火花が夜の闇に散っては消える。  ザンナが握り締めた拳を振り抜けば、それを皮一枚で避けて剣を突き出す。  その一閃はザンナの目を狙って伸びるも、彼もそれを紙一重でかわした。 「かははっ!! エグい攻撃だねぇムッツリあんちゃん!! 殺す気満々って剣だ!! コワいコワい!」 「……………」  恐怖を口にしながらも喜々として、狂気ならぬ狂喜に顔を歪めて更に攻撃の手を激しいものにした。  対する青年は、そんな激しい拳撃にも関わらずそれらを全て避けながら、ザンナの僅かな隙をついて剣を以て反撃する。  青年の剣は、ザンナの受けた篭手の表面を荒々しく削り、髪を掠め、薄皮を切った。  どれも一歩遅ければ一撃で命を根刮ぎ持っていかれそうなモノばかりだ。 「くっ……はは……っと、ははは……! …は…は……っ!」  ザンナの笑いは、いつの間にか途切れ途切れになり、あやふやになり、そして……。 「まさか、お前は……っ…ぅ……わ……っ!!!?」  ザンナが下方から振り抜かれた青年の剣を身体を大きく仰け反らせ、ギリギリで、頬の肉を斬られる程度で済んだ所で大きく後ろに跳んで一気に距離を置いた。 「はっ……はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………っ!!」  その表情から完全に笑みが消え、肩で激しく息をするザンナを、青年は構えを解いて静かに見据えていた。  その身体には僅かな傷も無く、その純白のコートには一辺の汚れも無く、呼吸の微かな乱れすらも無い、それら全てを含めたその静かな立ち姿は…。 「…"虚空の死神(シエロ・ラ・モール)"…!」  ザンナは小さく呟いた。  その声は、震えていた…。
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