虚空の果て

第一節

　北の果てには白銀の空。

　南の果てには灼熱の大地。

　東の果てには緑豊かな森。

　西の果てには星が帰る海。

　幾つにも分かれた様々な大陸と国と種族、そこには沢山の問題があって、だがしかし、それらに対する解決策も打開策も無くて、もう既に何年もの時間を重ねちまった…。

　……ん？ 似てる？ ……あぁ、この世界にってか？

　……まぁ、そうだな、どんな物語にも必ず出てくる"世界"ってヤツは、案外どこもかしこも一緒なんだろうぜ。

　……っと、閑話休題、話が逸れたな。

　ともかくだ、そんな様々な問題を抱えた大陸や国や種族やらが混在するそんな世界に、ソイツはいたのさ。

　…ぁん？ 最後の辺りが投げやりっぽいって？

　良いんだよ、オレは別に世界ってヤツの全部を知ってる訳じゃないからな。

　知らないモノを知ったか振りして話すよりかは、そっちの方が入りやすいだろ？

　……さて、では、話を始めようかね…。