第二節

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 激しく火花を散らす剣と剣。  鍔迫り合いから弾けるように距離を取った両者は、それぞれ次の攻防に向けて構えをとった。  黒い革製のアンダーの上に純白のロングコートを羽織り、細身の両刃剣を独特な上段構えでとる黒髪の青年。  それに対する兵士は、その見るからに重厚な鎧という装いに相応しい肉厚な大剣を身体の真っ正面に真っ直ぐ構えている。 「貴様、強いな。その技巧、どこで身に付けた?」  不意に兵士のフルフェイスから紡がれるくぐもった低い声。  青年はその深く降りた前髪の奥に光る青い瞳をすぅっと細め、その独特の上段から今度は腰溜めの構えへと変える。  それを見た兵士はクツクツとフルフェイスの奥で笑い、「なる程」と何かを悟るように短く呟いて、自身の構える大剣の柄を強く握り込んだ。 「他でない"我々から"……と言うことか…」 「………………」  青年の剣の柄を握る右手に添えられたのみの左手が、ユラリと兵士へと差し出され、そのままピタリと中空で止まる。  まるで、兵士と自分との距離を測っているかのように、その手はピクリともしない。 「来るが良いぞ若き剣士よ…。俺はそう簡単には倒れんぞ…?」 「……………。………―――」  その言葉を開始と受け取ったのか、挑発と受け取ったは定かでないが、青年の足は地を蹴り、上体の構えをそのままに構える兵士へと向かっていった。  兵士は息を大きく吸い込んで、次の瞬間、大気をも震わせん勢いの雄叫びと共に、大剣を振り落とした。
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