戦略は綿密に、隠密に。

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「悪かったよ。間違いは誰にでもあるだろ?今回のは俺が頼んだんだから、俺に責任があるよ」 ファイルを開いて、今日の現場の依頼書を探す。 「あった!これだろ? ”ssw-54ktb”は…あぁパネルだな。電話で伝えたから聞き間違えたんだ…」 この間、弥生ちゃんに頼んだメンテナンス依頼。クローゼット収納一式の工事依頼の現場には間違えた大量のパネルが届いてるらしい。 「いつもなら、折り返し連絡してくるじゃん。今回、無かったね」 険しい顔を崩さない田中に、なるべく冷静に話した。 依頼書の担当印は弥生ちゃんだけ。田中の新人イビリにしては今回は悪意がある。 ガムをクチャクチャさせる田中は小さく呟いた。 「なんだよお前、ナイト気取りか?」 その言葉にカチンときた。
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