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田中が出て行って、フロア内に溜め息が漏れた。
「あ、の…。
すみませんでした」
俺にも深々と頭を下げる弥生ちゃんの頭にポンっと触れた。
「俺にも責任があるよ。任せっぱなしにしてた、ゴメン」
心許なく揺れる黒目。
「とりあえず、現場からパネルを引き上げてくるよ。弥生ちゃんは工場に連絡して最短で注文かけてくれる?」
気にしないでって言ったって、無駄だと思う。型式の聞き間違いや発注間違いは誰でも経験することだけど。
全く違うものが届けば現場を混乱させるし、作業を止めることになってしまう。
固く力の入った背中を押してキャビネットの扉を開けた。
「カタログ、見ておこうか?」
分厚い部品のカタログのページをめくる。いつからか、田中から詳細打合せの連絡がくることを想定した雑な依頼書を書いていた。
「怠慢だったな、俺…。
弥生ちゃん。この際だからもう一度、メンテナンス依頼の流れを教えとくよ」
不安気に見上げる弥生ちゃんに精一杯優しい声を掛けた。
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