戦略は綿密に、隠密に。

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新しくメンテナンス依頼書を書いている間にも、鳴り止まない携帯。 「こっちは任せて、中野君は早く現場に行って来なさいよ」 受話器を肩に挟んでキーボードを叩く担当者に頭を下げる。 「納期回答きたら、携帯に連絡して下さい」 事務のシマでやり取りを幾つかして、弥生ちゃんに後を任せてトラックの鍵を握りしめた。 事務のシマで小さく立ち尽くす弥生ちゃんが心配だけど、今はやらなきゃならないことがある。 トラックを飛ばして現場に向かえば、現場には大量のパネルが置いてあって梱包の上に[返品!]の大きな張り紙がしてあった。 現場で作業する職人たちが俺を見る目が冷たい気がする。口元を引き締めて、頭を下げた。
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