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中野さんは昼休憩を過ぎた頃に、汗だくになって事務所に戻って来た。
難しい顔をした三上さんと手を額に当てた姿の中野さんを遠くから見ているだけなんて出来ない。
元は私のミスだから…
二人の側に近づいた。
「じゃあ、今日取りに行きますよ。午後から外せないところだけ回ってからココを出たら…」
「夜中になるわ。明後日着便に間に合わせて貰うように頼むから、無理しない方がいいわ」
「…どうかしたんですか?」
深刻な二人の会話に息がつまりそうだった。
「クローゼットの取っ手が別注品で工場にはないのよ。取り扱ってる販売店まで中野くんが行くって言うから…」
三上さんは困ったように語尾を濁した。
「明日なら、田中のスケジュールも余裕があるんですよね?現場の完成を遅らせる訳にはいかないし…」
中野さんが流れる汗を手で拭いながら、予定表のホワイトボードに目を向ける。
「私が行きます。今から行って来ます」
「「はあ?」」
驚いた顔の三上さんと中野さんの声がハモった。
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