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☆☆☆☆☆Side.Nakano.
「母ちゃん、俺もみんなと同じモンが食いたい…」
片方の眉が上がり、冷たい眼差しから瞬殺するような光線が見えた。
「いえ、いただきます…」
渋々両手をあわせて肩を落とす。だって、親はトンカツ食ってんのにぃ。
レバニラ炒めとチーズグラタン(冷凍)とヒジキの煮物とアサリの味噌汁。
一日3回。三日三晩同じじゃあ、全く食欲をそそられない。
休日の夕方のニュースは今日が立秋だと伝え、お盆休みで出国する人たちを映した。
俺、ナニやってんだろ…
貧血で倒れた俺は週明けに病院で再検査、盆休み明けから仕事復帰することになっている。
弥生ちゃんからの連絡は無い。
本当に嫌われたのかなぁ。
レバニラを見つめ、また胸が締め付けられる。
「この歳まで実家にいて、貧血だなんて。今頃母親失格の烙印押されたみたいで恥ずかしいんだからね」
母ちゃんはドン!と皿いっぱいのトンカツを目の前に置いた。
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