戦略は綿密に、隠密に。

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6月から夏服に変わったことを気にしてなかったのに。 笹野が変なこと言うから… 襟ぐりのあいたブラウス。 半袖から伸びる色白の腕。 チェックのベストから想像する身体の厚み。 イカンイカン、俺… 変態じゃん。 朝礼を済ませて、邪念を振り払う。 騒がしくなり始めたフロアで手を伸ばした外線。 「……え?」 朝から浮かれてた俺。 怒りのこもる口調が受話器から響いてきて、目を見開いて彷徨う視線の先には 入り口のカウンターで険しい顔をしている田中と、青褪めた弥生ちゃんがいた。
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