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謎の音が耳に伝わる。
『カチャカチャ』
俺は近づいてくる音に耳を澄ませる。
『カチャ……』
その音は突如として止まり、俺の前に二才程度年上に見える青年が電柱の陰から姿を現した。
音の正体は刀の揺れる音であり、その青年と目が合う。
「お前も知っているよな。このゲームは他のプレイヤーを殺していくゲームだって」
青年は気軽に話しかけてくる。お互いに殺し合うだろう相手なのに。
「……あぁ」
「じゃあ、時間もあまりない事だし、早速、殺し合おうか」
青年は、俺を殺したくて、うずうすしているのか、それとも配布された武器を使いたくて、うずうずしているのか、とにかく笑っていた。
目の前で笑う少年からは、殺意や恐怖は全く感じなかった。だからなのか、俺の心は非常に落ち着いていた。
「あぁ、その前に言っておく。俺はお前を殺しても恨まない。お前も恨まないと約束してくれるか?」
言葉で解決できるなどと思っていないが、これしか方法がなかった。
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