キルブレイン

10/30
前へ
/30ページ
次へ
謎の音が耳に伝わる。 『カチャカチャ』   俺は近づいてくる音に耳を澄ませる。 『カチャ……』   その音は突如として止まり、俺の前に二才程度年上に見える青年が電柱の陰から姿を現した。   音の正体は刀の揺れる音であり、その青年と目が合う。 「お前も知っているよな。このゲームは他のプレイヤーを殺していくゲームだって」   青年は気軽に話しかけてくる。お互いに殺し合うだろう相手なのに。 「……あぁ」 「じゃあ、時間もあまりない事だし、早速、殺し合おうか」   青年は、俺を殺したくて、うずうすしているのか、それとも配布された武器を使いたくて、うずうずしているのか、とにかく笑っていた。   目の前で笑う少年からは、殺意や恐怖は全く感じなかった。だからなのか、俺の心は非常に落ち着いていた。 「あぁ、その前に言っておく。俺はお前を殺しても恨まない。お前も恨まないと約束してくれるか?」   言葉で解決できるなどと思っていないが、これしか方法がなかった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加