キルブレイン

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ブレインドライブは、ゲームの世界(電脳世界)の映像を出力するゴーグル型インターフェイス、『ブレインサイト』と、電脳世界での動作制御や現実世界の体の制御、食欲と睡眠欲の抑制等の脳制御と、電脳世界での音に関する電気信号の音波変換を担うヘッドホン型インターフェイス、『ブレインロード』の二つのインターフェイスで構成されている。 俺、能吏高志が電脳世界を創り、それを完成させたのは約一年前の事だった。 それを開発しようと思ったきっかけは、ただ親父に喧嘩を売りたいだけだった。 優しかった母を捨てた親父に、ただ何かしらで喧嘩を売りたかっただけだ。それが偶然、『ゲーム制作』だった、という訳だ。 親父は『ブレイン・システム』というゲーム会社の社長をしており、ブレインドライブの開発をしていた。だからこそ俺は、親父や会社の人達に一泡吹かせてやろうと思ったのである。 当時、中三だった俺は学校で天才だと言われ、生徒達に忌み嫌われていた。日本で一番頭の良い中学校だと言われていたのに拍子抜けだった。教師はある事しか話さないし、生徒達は勉強を熱心に取り組んでいるはずなのに馬鹿ばかり。何の競いようもない学校だった。だから俺は、同級生が進学に向けて勉強をしている中、学校に行かず、脳の勉強をし、ゲームの開発に勤しんだ。 ゲーム開発が初めてだった俺としては少し頭を使わされたが、当時の最新鋭のゲーム機を分解したら、簡単に理解した。 ブレインドライブが完成すると、その対応ゲーム、ブレインコードは、あっさりと完成した。そして、ブレインコードの試プレイも異常はなく、無事に終わるかと思われた。 試プレイ中、俺の目前に映る電脳世界のイメージは一変し、現実世界の自室の光景に戻された。それはゲームのバグではない事に直ぐ気づいた。 「お前は学校に行かないで何をしている」
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