キルブレイン

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そこに表示されていたブレインコードの詳細説明を簡単に説明すると、このゲームはリアル殺人オンラインゲームであり、レベル、体力ゲージ、スキル、NPC、ボス、メニュー画面、といった類は何一つ存在しない。つまりオンライン上の別のプレイヤーが敵であり、初期配布装備を上手く使いこなして、策を巡らし、相手を自分自身の力のみで殺すという事だ。もちろんパーティを組んで一人一人殺していくのは構わないが、午前〇時に、プレイヤー各自が殺したプレイヤーの数を集計し、見事一位になったプレイヤー(つまり一番人を殺したプレイヤー)には素晴らしい褒美を与える仕組みとなっている為、仲間割れなど起こしやすいという事だ。 このゲームの主体である殺人は、実際に電脳世界で人を殺したとしても現実世界では一切影響なく、電脳世界で死ぬと同時にログアウトされ、二度とプレイ出来なくなるだけらしい。注意として、痛覚は機能しているらしく、死ぬ際の痛みは少なからず感じるらしい。殺された側としては、死ぬ疑似体験が出来るという事だ。それと、このゲーム上では自身の身体パラメータが二倍になるように脳の運動神経系を活性化させて、現実の二倍の動きが出来る仕様となっている。これは俺が制作段階で気づいた事だが、この活性化は脳に少しばかり負担を強いるが、二倍程度なら現実世界に支障はなく、逆に脳に良い刺激になり、脳の病気予防にもなる事が分かっている。以上。   この説明を読む限り、このブレインコードのゲーム内容は俺が一年前に開発したブレインコードのゲーム内容と全く違っていた。俺が開発したのは、殺人鬼などの犯罪者を警官となった自分が推理して捕まえるといったゲームだ。 あのゲーム会社はこのゲームを通じて何を伝えたいつもりなんだ。このゲームは殺人鬼予備軍を作り出すだけではないのか。   不快に思いながらも俺が説明文を読み切ると、目の前が暗転した。俺の脳を逐次監視しているブレインドライブは記憶にゲーム情報が入った事を瞬時に確認する事が出来る。それ故に、読み終わると同時にゲームが開始する事が出来る。裏返せば、説明文を読まなければ、ゲームが開始されないという事だ。   暗転した世界は、すぐに電脳世界のイメージに変わった。   俺が着いた電脳世界の風景は……俺の住んでいる町その物だった。それを瞬時に理解出来たのは、俺が自分の家の前にいるからだ。
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