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辺りのどこを見回してもメニュー画面が見当たらない。これでは自発的にログアウトが出来ないじゃないか。
また、表示枠が目の前に出現する。
注意:このゲームは自発的にログアウト出来ません。現実時間の午前〇時に、強制的に全プレイヤーは電脳世界からログアウトされる仕様となっています。
読み切ると、表示枠は閉じた。
今の俺はゲーム製作者の思い通りに事が進んでいる訳か。
周囲に警戒しながら、辺りを再び見渡す。
俺の記憶情報と他のプレイヤーの記憶情報をつなげ、創り出した電脳世界のイメージだと思うが、しかし、もしこの町に俺以外のプレイヤーがいるとしたら…………いや、必ずいるだろう。もしいない場合、強制的に別空間に移動させられるはずだ。でないと、誰一人として殺す事が出来ずにゲームが終わってしまうからだ。それではランキング一位など取れる訳もない。
という事は、同じ町に住む人達同士で殺し合えという事か。
俺は腰に差してあった日本刀の柄を強く握りしめた。
もし、この町で人を殺せば、必ず殺された人は恨み、現実世界の俺の寝首を取りに来るはずだ。この町に住んでいる事は確定しているんだからな。逆に俺が殺されようものなら俺は殺した奴を恨み、出会ったら殺したくなるかもしれない。
このゲームの製作者は何を思う?
俺は、その場で立ち尽くした。
『カチャ』
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