人類が最後にかかるのは、希望という病。

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 ひび割れたり歪んだりした道には車が横転していたりしていたが、それを避けて通る。  赤井さんもこういう事態に慣れているので、おどおどしている割には危なげなく登校していた。  繁華街を抜けるときには、間近に紅い閃光が落ちてきて驚いたが、大したことではない。  風紀委員のラッパ隊が物々しい行進で横切っていった。この災害の犯人探しなのだろう。荒事は風紀委員の得意分野だ。  また怪しいローブを身につけた錬金術師教団の連中を見かけた。彼らのローブの背にはシンボルマークが描かれていた。杖に一匹の蛇が巻き付いた医術を象徴する『アスクレピオスの杖』と杯に一匹の蛇が巻き付いた薬学の象徴『ヒュギエイアの杯』の二種類がある。  どちらも医学を象徴するものだが、『アスクレピオスの杖』に所属する錬金術師は戦闘もでき、街の修繕や人々の回復を主に受け持つ『ヒュギエイアの杯』を危険領域において守る役割を持つ。  見栄えが良いのはやはり『アスクレピオスの杖』なので、俺も錬金術師になるならこちら側に憧れるだろう。炎の玉を飛ばしたり雷を落としたりする。この惨状はこいつらのせいじゃないのかと思う。  空に浮かぶ魔法陣を光の槍で貫いて壊す。槍の弾道には蒼い霧のような輝きが残る。何を錬金したらそんな不思議なものが出来上がるのか問い詰めてやりたい。  そう思って、葬儀屋に問い詰めたら、なんだかとんでもなく複雑な元素式を持ち出されたのを覚えている。お前らは高校で何を学ぶつもりだったのか。  ちなみに、葬儀屋のローブには杖に二匹の蛇が巻き付きさらに翼が付け足された『ケリュケイオン』が刻印されている。葬儀屋だけのユニークシンボルだ。そういうの格好良いと思う。俺も欲しいよ。
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