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「変な感じやな。こっちとあっちが、繋がってんのも。」
「助かってますよ、あの人たち…僕らとは経験の数が違うから。」
「与一郎くんは?」
「あいつは…知らない。相変わらずふらふらしてるみたいで。」
「ははは、左様か。」
「難儀やねぇ。」
肝心であろう人物の存在が一番遠い事を知らされると、芝山はまた仕方無しの笑顔で細川を励ました。
「敗けません、俺も……皆の気持ちに応えたい。」
「良ぇ子や、」
わしわしと細川の髪を撫でる。
細川は僅かだけ驚くも、あの頃の人懐こい笑顔を浮かべて頷いた。
「また近くに来た時はお知らせします。」
「着いてかんで良ぇの?」
「大丈夫です、今はまだ……」
「ん、」
「こっちも、探してるの…気付かれない様にしておかないと。」
「何処に繋がってんやろうね、ほんまに。」
「……。」
「…無理はしたあかんよ。」
「解ってます。」
「ほんなら、良ぇわ。」
―――二人は探していた。
細川があの砂時計を受け取った日に消えてしまった、盟友の足跡を。
手掛かりは極、僅か。
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