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「ったく、どいつもこいつも…戦が下手過ぎて困る。」
「面目もございませぬ。」
「…零距離で首取るの…お前、出来るか。」
「些か勇気を要しますな。弓、槍ならば未だしも…今は鉄砲が普及して参りましたゆえ。」
「如何思う、勝家。」
「さて…某には測り兼ねますが…」
右から応える声は野太く、いかにも武将という気迫を携えている。
「貴方様への忠誠と心得て戦をする者ならば、誰しも一度は敵将の首を取りたいと思うものでは。」
「まぁ、取らなきゃ取られるからな。」
「距離で推し量れぬと言う事は、確かです。与一郎殿も、敵将を追った結果が零距離であっただけの話。鉄砲があれば、狙撃をしたはず。」
「そっか。」
「…賢明とは言えませぬ。此の勝家ならば、尻をひっ叩いて膳抜きに致します。」
「ははは!違い無ぇ。」
辿り着く先。
しかし僅かに、違和感があった。
「御先に失礼致しまする。」
野太い声の武将と、左側を歩いていた老将は頭を垂れてその場を去って行く。
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