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「と云う訳で芝山くん、忠三郎が深追いしないように付いてったげてよ。」
優しく肩を叩きに来た信長。
いつの間にかその笑顔を見下ろせるまでに延びた青年・芝山の身は、明白に半歩退く。
「ようやっと帰って来れた人間にまた行け言うんか。」
「出世の好機を俺自ら与えるって、そうそう無いけど?」
「いつ陣出しますのん。」
「え~、気になってくれる~?」
「優し~い。」
甘く、猫でも撫でるような口振りで笑う信長だが
件の二人を案ずる本音が見て取れるので、芝山は視線を外したまま話を進めた。
「聞かんと備えも何も、やれへんのですけど。」
「三日後です。」
「鬼か!」
どう考えても、軍を出せる間合いではない。
つまり、
「行くのは、お前だけ。」
そう云う事である。
「わあ。そら大事な兵みーんな守れて、助かりますー。」
「頼む。多分あいつ、誰が与一郎に深手負わせたか知ってる。」
「仕留めたんやないんですか?本人が。」
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