【あかつき大名・芝山監物】

3/8
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
  「そない言うたら、俺らかてよう判らん名前ですよね。」 「其処が殿下の面白い所です。」 「面白い?」 「人の本質を…よく見ています。」 「…本質??」 「例えば芝山くんの“監物”は…ものの仕分けの上手い人にも使われる官職ですし」 「あ…成程な。確かに瀬田さん、めっっちゃ綺麗好きや。」 「ね。」 「いや~、よう出来てます。」 「そうだと言わずとも、殿下は必ず望むものを我々に与えて下さる。」 「人たらして、ほんまやったんですね。」 「信長様でもなかなかこうは、出来なかったでしょう。」 「確かにな~。」 感慨深そうに頷き続ける芝山。 帰り支度を済ませると間も無く瀬田へ向き直る。 「ほんなら、先に失礼します、瀬田さん。」 「ええ。また待庵で。」 年長者にも関わらず、屋敷から去る芝山を丁寧に見送る瀬田。 秀吉に織田軍から引き抜かれるや否や、彼はやはり、其処でも補佐役として扱われていた。 「―――…さて…。」  
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!