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「そない言うたら、俺らかてよう判らん名前ですよね。」
「其処が殿下の面白い所です。」
「面白い?」
「人の本質を…よく見ています。」
「…本質??」
「例えば芝山くんの“監物”は…ものの仕分けの上手い人にも使われる官職ですし」
「あ…成程な。確かに瀬田さん、めっっちゃ綺麗好きや。」
「ね。」
「いや~、よう出来てます。」
「そうだと言わずとも、殿下は必ず望むものを我々に与えて下さる。」
「人たらして、ほんまやったんですね。」
「信長様でもなかなかこうは、出来なかったでしょう。」
「確かにな~。」
感慨深そうに頷き続ける芝山。
帰り支度を済ませると間も無く瀬田へ向き直る。
「ほんなら、先に失礼します、瀬田さん。」
「ええ。また待庵で。」
年長者にも関わらず、屋敷から去る芝山を丁寧に見送る瀬田。
秀吉に織田軍から引き抜かれるや否や、彼はやはり、其処でも補佐役として扱われていた。
「―――…さて…。」
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