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あの日を皮切りにしたかの様に
芝山は度々と言って良い程、蒲生と細川の二人に振り回され始めた。
と言うのも
芝山は早くから利休の門下となり茶道の色々を学んでいるのだが、定期的に増えていく目下の弟子に、選りに選ってこの二人が含まれてしまったのだ。
利休の茶道を認めた人物こそ信長であり、それを政治の末端に据えようとしていた先見性は瞬く間に流行として根付き、武士の嗜みとして必須とも言われるまでに成長を遂げる。
時代の武士は慌て、こぞって自らの子や孫へその作法を叩き込んだ。
それは当の信長も同じだ。
結果、信長が手元で可愛がった武士は必ずと言って良い確率で、まずは利休の門下になるのである。
(親の心・子知らずっちゅうんは、皆、覆せへんかったなぁ。)
長く安土に身を置いた芝山は、そうして今回も追い掛け追い付いた【弟】の背を眺めた。
「嫌やわー、氏郷くん。まーた俺に何も言わんと決めてしもたん?」
「如何してでしょうね、面倒になるんです。」
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