~第1話~

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「受かっ・・・た!」 オレは紙を握る手に力を込めた。 散々頭に叩き込んだけど、実際に照らし合わせて確認しないと信じられない。何度確認しても、目の前に広がる数字の羅列の中の一つが、オレが握っている紙に書かれた数字と一致する。 …間違いない。 『合格』という二文字が浮かび、堪らずガッツポーズを決めた。 「おめでと、凛」 隣に立つ親友が微笑みかけてきて、頷きながらもある不安が生まれる。 「快里は?まさかーー」 認めたくなくて、続きは濁した。 その瞬間、快里はぷっと吹き出す。 「俺も受かったよ!凛と同じ、春から高校生!」 笑い混じりに言う快里に、オレは騙されたようなやり場のない恥ずかしさに見舞われた。考えてみれば、オレが受かったのに快里が落ちるわけがなかった。すぐに喜びが蘇り、気持ちを素直に表す。 ーー春からオレ達は高校生・・・ そう、18歳にして高校生になる。
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