~第1話~

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凛「家、引っ越すなら一人で探すから」 居心地が悪くなってつい意地を張った。本当は不安で仕方ないのに。 一呼吸置いて返事が来る。 快里「何かあったら言えよ」 凛「…ん」 いつもの優しい言葉も、今のオレには物足りなかった。 親の口から直接聞くまでは確信持てないし、持てたとして、オレは一人で家を見つけられるのか。 (どうしよう…すっげー心細い) でもこんな情けない気持ち晒すのは、男のプライドが許さなかった。 相手が快里でも。 いや、快里だから。 オレの弱いとこいっぱい見せた快里に、少しでも強くなったオレを見せたくて。 こんなつまらない意地を張った。 よいしょと立ち上がると電柱から紙が剥がれ落ちた。真っ白の面がオレの目に映る。わざわざしゃがんでめくるほど興味は沸かなかった。 今夜は戦いだ。 そのまま帰ることにした。
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