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「俺に惚れてるからだろ?」
「あなたは底なしのアホですか!?授業受けさせるために決まってるでしょう!?」
「…でも俺、今から遊びに行きたいから。しかもお前も無理矢理連れてく予定だし。」
彼は何の問題もなさそうに両手で綺麗にセットされた髪の毛を触りながら話していた。
「行きません。」
「ふーん、じゃあ…」
「…なんですか?」
「これから絶対授業出ないから^^」
「またそれなんですか!?」
あなたはどこの我がままなおぼっちゃまなんですか?
って聞きたいけど、この頑固さに精神的に負けた。
と言っても本当にあの家の大きさからしておぼっちゃまなのかもしれないけどね。
「…そんなこと言ったら一生卒業できませんよ?」
「俺、卒業したってしなくたってどうせ将来もう決まってるから。」
「将来なにになるんですか?」
「知りたい?」
「教えてくれないんですか?」
「一緒に遊びに行ってくれたら教えてやるよ。」
「じゃあ、一生知らなくていいです。」
そういうと伊藤龍之介は気に入らないかのように顔をしかめた。
「…お前、前から思ってたけどなかなかいい度胸だよな。」
「そうですか?それ褒めてるんですよね?ありがとうございます。」
「いや、褒めてるように見せかけた嫌味なんだけど…?」
「褒めてるのに違いありませんよ。」
そう言ってくるっと向きを変えて階段を上がろうとした。
ぎゅっ。
腕を簡単につかまれる。
まあ、私の腕を今つかむのは一人しかいない。
「知ってるか?」
「…なにをですか?」
「ん?強行突破って言葉。」
そういうと彼は強引にも簡単に私を抱きあげて脱走し始めた。
「えっ!!!ちょっ!!」
「ふん、俺の勝ち。」
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