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校門の前まで来るとやっとおろしてもらえた。
「…なにやってんですか?!」
「なにって、さっき言ったじゃん!!強行突破。」
「んなのわかってますよ!」
「俺、今日行きたいところあっからさ。」
「そこに無理やり私を連れていこうということですか?」
「いや、一人じゃ寂しいとこだし。」
「どこですか?」
「ん?…カラオケ。」
「は??」
授業放棄して私にカラオケにいけと?
ただでさえ今、推薦もらえるかもらえないかの瀬戸際なのに…
…これでこの人の我がままを聞くのを最後にしよう…。
「今日が最後です。」
「なに!?行ってくれる気になったの?」
「これからもう駄目です、今日で終わりにしてくださいね?」
「はは、井上なら行ってくれるってわかってたから、」
見透かすように言う彼はかなりの上から目線だった。
「…なんかむかつきます。」
「なに?」
「…なんでもないです。」
瞼をつぶって深いため息をついた。
今日は仕方ないから我慢するか…。
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伊藤龍之介は無意識なのか意識的なのか知らないけど私の腕をつかんで知らない道をどんどん先へ行く。
「…どこ、行くんですか?」
「制服じゃまずいだろー?」
「一回家帰ればいいじゃないですか。」
「家より服屋のほうがちかいから。」
そう言った彼の後ろ姿はやっぱりどっしりしてて、安心感を与えてくれる。
…って、私ったら何考えてるのよ…
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