2人

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「…どうですか?」 渡された白のファー付きニットとピンクのスカートをはいて睨みながら彼の正面にたった。 「お、なかなか可愛いじゃん。」 「…そうですか?そりゃあどうも。」 「俺の言葉お前、信じてないだろ。」 「ええ、もちろん。」 「…。とにかくそこの茶色のブーツをはいて店から出るぞ!」 「何でそんな急いでるんですか?」 「この店にいるのが恥ずかしいからに決まってんだろ。」 っと、ぼそっと彼が小声で言ってるのを私は聞きもらさなかった。 「私はずっといてもいいですよ?」 小さく笑みを浮かべて伊藤龍之介に言うと彼は私に苦笑いした。 彼は強引にも私を店からひっぱりだしてどんどん歩いていく。 …まったく。この人は強引なんだから…。 「どこ、行くんですか?」 「カラオケって言ったろ?」 「ああ…、そうでしたね。」 「お前、JPOPな曲なんて歌えるの?」 「バカにしないで下さいよ。私だって音楽聞きます。」 「へー、意外。」 「…。」 「お前さ、その赤い眼鏡どうにかならないの?」 「どういう意味ですか!?」 「え、そのまんまの意味なんだけど」 「ださいってことですか!?全くあなたは失礼極まりない人ですね」 「そうじゃなくて、世の中にはコンタクトがあるのに何で眼鏡はめてるのかって聞いてんだよ。」 「コンタクト、持ってるけど怖いからあんまりはめてないんです。」 「はー?マジ金の無駄じゃん。」 「…失礼ですね。」 伊藤龍之介は散々好き放題言って私を不快にさせる。 「おっ着いた着いた♪」 カラオケ店について渋々伊藤龍之介の後についていく。
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