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室内に入ると、私は余計なことを考えてしまった。
…やばい、この人と密室なんて危険すぎる。
「お願いがあるんですけど。」
「なに?」
「半径1メートル以内に私に近づかないで下さいね。」
「お前、ただでさえせまいボックスの中でアホか。第一俺、エロ禁止なんだろ~?」
「…あ、そうでしたね。」
思い出してほっと一安心。
「何時間ここにいるんですか?」
「フリータイムだから好きなだけ。」
「なんか、それも危険ですね。」
「おい、井上。もうちょっと俺のこと信用しろ。」
「ちょっと何度か襲われて怖い思いしたので無理ですかね。」
「…うわ。」
伊藤龍之介は私を横目で見ながら口をひらいた。
この人信用するのは正直無理に等しいかもしれない。
でも…
「そのぶん、あなたには助けてもらってるから今こうしてカラオケにつきあってるんですけどね。」
「いいこともたまにはしとくもんだな。」
「そうですよ!」
彼は手元にある大きなパネルのリモコンを操作して曲を入れてた。
「お前、カラオケ初めて?」
「そうですよ。」
「はは、本当に今時の高校生なわけ?」
「さっきから失礼なんですよ」
「いいか、カラオケってこうやってやるんだよ。」
彼が転送した曲がボックスに響き渡る。
バラードで落ち着いた曲。
マイクを片手に画面を見つめる伊藤龍之介は何だか様になってる。
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