2人

4/40
前へ
/40ページ
次へ
綾瀬くんみたいな人といると物凄い落ち着く。 というか、綾瀬くんと図書室の雰囲気が絶妙にマッチしてて見てて和む。 ついなんだかうっとりてしまった。 「井上さん、頭良いよね。今度俺、勉強教えてもらおうかな…?」 ニッコニッコで向日葵みたいな笑顔を私に向けた。 「私、知ってますよ!綾瀬くん。かなり頭いいですよね。」 「ははは、井上さんには負けるよっ」 「そんなことないですよ、私が教わりたいくらいです」 ペンをぎゅって握って力強くいった。 本当は慶帝大学の… 推薦のことを考えないぐらい センター入試で 100%の合格圏をほこれるくらい 頭が良くなりたい。 そしたら…、 そしたら…。 毎日保健室に行かなくてもいいし、あの無茶苦茶な条件のことで悩まなくていい。 最近、伊藤龍之介のことばっか考えてて 正直、調子狂う。 「そんなに思いつめたら、全部楽しくなくなるよ?」 「…え。」 彼は珍しく真剣な顔で私の顔を見つめてる。 「なんか知らないけど、井上さんはいつも時間に終われて切羽詰まってる。」 …切羽詰まってる? そんなこと初めて言われた。 余裕がないのは十分分かってたけど、 そんなこと言ってくれる人、今までいなかった。 綾瀬くんには、なんだか分からないけど総てを見透かされる気がする。 私が鈍感だからかなあ…?
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加