55人が本棚に入れています
本棚に追加
息もする間もないほど2人で言い合う。
両者一歩もひかない。
「なに、お前綾瀬のことが好きなの?」
「違いますよ!でもああいう人がタイプなんです!!」
「…ああいう?」
「そうです、黒髪で優しくて爽やかで、あなたみたいに血の気が多くないし、喧嘩っ早くないし、エロいことなんて全く考えてなさそうだし!!もろタイプなんです!!」
「へえ~、」
伊藤龍之介はニヤッと笑って私に近づいた。
「じゃあさあ、俺も黒髪にして綾瀬みたいになれば俺のこと好きになってくれんの?」
「伊藤くんが黒髪?そんなの想像つかないし、血の気が多いからダメです。」
「じゃあやってやるよ!」
伊藤龍之介は大声出して私を上から見下ろした。
「まずは喧嘩当分禁止で黒髪。」
「無理でしょう。」
「いや、絶対やる!明日お前ちゃんと3時間目の休み時間保健室来いよ!」
「言われなくてもあなたを教室に連行するため来ますから!!」
結局、今日も教室に連れ出すことは出来ないし、チケットは奪われたまんま。
伊藤龍之介は私をからかって面白がってるのかなあ…?
私が真面目キャラだからいじって遊んでるの?
そうとしか考えられない。
「意味が分からない」
そうぼそっと呟いた。
私を好きにさせる?
それで喧嘩当分禁止で黒髪?
確かに、彼は有限実行タイプだけど私のためにそこまでする、普通?
もしかして…あの人、本当に私のこと…?
最初のコメントを投稿しよう!