教室の彼

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「授業受けたいわけじゃないけどクラスに入る気にはなったかな。どっかの誰かさんのおかげで。」 伊藤龍之介は私を見つめた。 それに気付いた滝波先生も私を見る。 「えッ…あ…。」 うれしさと動揺が感情を入り混じる。 彼は私の目の前にドカっと座った。 「ここ、俺の席だろ?」 「…………ハイッ!」 私の目の前の席に初めて人が座った。 「保健室、くる手間はぶけるだろ?」 彼はにっこり笑って私を見た。 「でも…条件…私はたしてないのに…どうして?」 「昨日言ったろ?サプライズのこと。」 「……あッ。」 そう言えばそんなこと昨日言ってた気がする。 「ぶっちゃけ、俺に教室で授業受けさせること諦めてたろ?」 「…えっ。」 確かに…条件を出されたときから若干の諦めはあった。 「まあ、図星ってとこか?」 「いや…そんなこと…。」 「あるだろ?」 「…はい。」 伊藤龍之介はクスクス笑った。 これから…目の前の席にはペンケースだけじゃない…。 ちゃんと、彼がいる。 そして…念願の 成績アップと慶帝大の推薦がもらえるっ!!
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