教室の彼

5/20
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
ポカーンとしてた滝波先生だったけど咳払いをしてHRを始めた。 …でも、この人。 授業ついてこれるの? 半年間、絶対勉強してなさそうじゃん。 「で、1限なに?」 「数学です。」 「ほ~。」 「絶対授業ついてこれませんよね。」 「いや、どうだろう?」 自分のことなのにまるで他人事のような口振りで言い放った。 周りの生徒は奇妙に伊藤龍之介と私を見てこそこそと話している。 …って、普段クラスにいるのになんで私まで変な目で見られてるの? 「俺ってそんなに珍しいか?」 視線に気づいた彼が私に軽く問う。 「当たり前ですよ、第一。このクラス入るの初めてでしょう?」 「そりゃそうだわ、俺。今、天然記念物並みに珍しいわ。」 「いや…ちょっと意味わからない…。」 話しているうちに数学の担当の先生が教室に入ってきた。 先生はクラス中を見渡して伊藤龍之介を見て止まった。 「あ、伊藤じゃん」 「よ、榊原。」 うちのクラスの数学担当の先生は一見体育の先生に見える。 体育会系…って感じ。 「榊原先生と交流あったんですか!?」 「去年の俺の担任。」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!