教室の彼

7/20

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
…なんか初めてだな。 授業の前にこうやって人とわいわいするのは。 「…どうした?」 「え…あの。あなたと一緒にいると初めてがいっぱい経験できます。」 伊藤龍之介はニヤッと笑って私に耳打ちした。 「まだ…気持ちよくなれること…経験してないだろ?」 「……。」 「はは、赤面してる。」 「結構ですよ!!」 そう言い払って下を向いた。 今…私 嫌じゃないとか思わなかった? なんかの勘違いだ。 そんな自分。ありえないッ!! ありえないありえないありえない その言葉が私の頭を旋回する。 ようやくチャイムがなって授業が始まった。 たしかに保健室に行く手間は省けたし、かなり気が楽になった部分があるけど……。 この人が目の前にいたら…… 絶対授業どころじゃなくなる。 何でこんな危険極まりないことに気づかなかったのだろうか。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加