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口を少しずつ開けて声を発する。
その声にちゃんと耳を傾けようと、数本歩み寄った。
低くて、落ち着いた声が2人きりの世界にこだまする。
「おかしいって……思わないか?」
龍之介のその言葉に私は理解ができず、何がと聞き返す。
少し黙り込んだ後、今度は早口に言葉を喋った。
「おかしい、おかしすぎるだろ。
あの糞親父だって馬鹿じゃない。俺が家から抜け出したことなんてもうとっくにバレてるはずなのに…。
異変や向こうの動きはしっかり吉野が俺に報告するように伝えてある。
おかしい…ほんとに訳分かんねえ。
監禁までさせて脱出してきたのにいなくなったと分かっても向こうに何の動きもない。」
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