16人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
線香花火
外に出るとあれだけ降りしきっていた雨がピタリとやんでいた。
地面にはところどころ水たまりが出来ている。
その水たまりを覗くと冴えない自分の顔が映し出された。
ポロポロと落ちてくる大粒の涙。
その涙を手の甲で拭き取る。
本当に本当に本当に本当に別れたくなんかない。
死ぬほど愛しているのに、こんなにも龍之介のことが好きなのに
…どうして…、
待っていた結末は、
別れなんですか?
涙でぐちゃぐちゃのはずの顔を空に向ける。
雲の切れ間から少しだけ差し込む淡い光。
最初のコメントを投稿しよう!