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「今日…龍之介に会いたい。」
ポソリと呟くように吐かれた台詞。
龍之介の耳に届いたのかさえ分からない。
「……どうした?なんかあった?だったら今から行くから待ってろ。どこにいんの!?」
「…今からじゃなくていいよ。夜…会わない?」
今、龍之介に会ったら離れたくなくなるしずっとしがみつきたくなるのが目に見えてる。
もうちょっと落ち着いて正気に戻ったら…。
今の私には、平常心でいられる自信なんてどこにもない。
「じゃあ夜…珍しく河原でも行くか。」
「わかった。」
そう言い終わると電話を一方的に切ってしまった。
龍之介と会話をするだけでもなんだかとってもイケないことをしているような気分になる。
それが嫌で一方的に切ってしまった電話。
携帯を強く握りしめて上がる呼吸を沈めようとした。
歯を食いしばって流れまた落ちそうになる涙を止める。
…私がもっと強かったら何の問題もなかったのに。
こんなに弱いから、
こんなに心が弱いから、
涙を流すはめになるんだ。
家に帰る途中も、家に帰ってからも考えるのは龍之介のことばかり。
何をしてても頭から離れない。
from 伊藤龍之介
7時に公園の近くの
河原で待ってる。
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