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「久しぶり。」
言葉みじかめにそう呟き下をむく。
あまりにも会ってなさすぎてなんだか恥ずかしくなった。
「龍之介がここに来た理由は分かってるわ。さあ、上がって。」
理由が分かってるってことは糞親父は前もって母さんに連絡してたってことなのか。
流石、手配と準備は早いな。
上から目線でそんなことを考えながら3060号室にあがる。
「うちのホテルにずっと住んでた?」
「そう、別荘には行かないで基本的にずっとここで仕事してた。私もイギリスで遊んでたわけじゃないのよ。」
用意されたお茶を片手にまるで主婦の世間話でもするように話し始める。
まったく、呑気すぎる。
「世間話ならまた次回に、本題に入ろう。」
母さんは少し残念そうな顔をして眉を潜める。
その人のペースで合わせていたら日が暮れてしまう。
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