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「今の真琴に言ってどーなの?ってちょっと思ったけど、でもやっぱ伝えるべきだと思った。」
サラダをフォークで刺して口に運びながら話すアカリちゃんは真剣な話をしているのに、全くそんな風には見えない。
「元気にやってんだ。ずっとイギリスにいるのかと思ってた。」
日本にいることだけでも知れて良かった、って少し心の中で思ってしまった。
「真琴は、睦月のことが気になってると思ってた。
多分、真琴もそう思ってるんじゃないかって思ってたんだけど
最近の私の考えは少し変わった。」
私はカレーを口に運びながら、黙ってアカリちゃんの言うことに耳を傾けていた。
「真琴は、睦月と伊藤龍之介を重ねてみてる。」
わかってる、そんなの自分が一番自覚している。
おもむろに出たため息が、宙を漂う。
今になっても龍之介の影に苦しめられてるのか。
そう思うと、なんだかため息がでた。と、同時に笑える。
心の中でフンっと笑った。
「確かに、睦月君のことは気になってる。でも、龍之介に対する好きって気持ちと同じ物なのかって聞かれたら多分違うと思う。」
それが、私の中の考えだった。
なんで.....。.....
なんでこんなにも難しいんだろう。
人が人を好きになることがなんでこんなに難しくなってしまうんだろう。
数日前に、睦月君とキスをしてその後色々考えた。
本当の自分の気持ちって何なんだろ。
そんなこととかいろんなことをひたすら考えた。
「真琴はさ、伊藤龍之介に会いたい?」
いつも、クールでサバサバしているアカリちゃんが私に対して、まるで幼稚園児に話しかけるような甘くて、優しい声で聞いてきた。
「............分からない。」
会ったって何を話すの?
最近、どう?元気?
そんな社交辞令みたいなセリフしか私の頭の中には浮かんでこない。
「聞きたいこと聞けばいいんじゃない?社交辞令一切なしで。」
アカリちゃんには、どうやら私の考えていたことがバレていたらしい。
「.......何を聞きたいのかも分かんない。」
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