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「汚ねー。」
冷静に綾瀬を流し目でチラッと見てやった。
「まだ…ゴホッ…ゴフォ…っ吹いてねーよ。」
せき込みながら苦しそうに言う綾瀬にクチパクでざまーみろと一言言ってやる。
「しっ……死ぬかと思った。」
「そのくらいじゃ死なねーよ。」
飲み終えたコーヒーカップを見つめながら呟いた。
「そんな散々な結果だけ残して帰ってきてどーするわけ？
まあ、伊藤と井上だけの問題なら良いけど子供まで抱えて。
もう、さすがに伊藤グループから出て行くことは出来ないだろ？」
なんなんだ、なんなんだ今日の綾瀬朝希は。
こんなズバズバと答えずらい質問ばっかしてきやがって。
「考え中。でももう流石に伊藤グループから離脱することはできない。
選択肢的には頑張って真琴の父さん納得させるしかないんだよ。
でも、だからこそ子供が大きな鍵になると思うんだ。」
もう伊藤龍之介に生まれてきた以上、伊藤グループを継がないなんてことは現実に実現しないことに最近ようやく気づかされた。
それでもやっぱり俳優になる夢は今も心の中にあるし消えてなんかいないけど。
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