第10話

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あたしは黙って深くうつむく。 すると、またもネックレスが目にとまり、 不道徳を働きかけた罪の意識が再び浮上し、 おののき、震えた。 あたし、ここで、こんな…、なんてことを。 身体の隅々まで熱くなっていた体は急激に冷め、 頭もはっきりしてきた。 衣服に乱れがないかをさっとチェックした後、 ドア前まで歩をすすめる。 ドアノブに手をかけ振り返ると、常務はまださっきの格好のままで。 相変わらず掌で目隠しがされてる。 何か声をかけるべきか。  でも、何を言えばいいのか、全く浮かばない。 あたしはそんな常務を見つめながら、常務室を後にした。
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