1516人が本棚に入れています
本棚に追加
「こっち来て。
こっちのソファの方がゆったり座れるから」
最初は座る気などなかったあたしだけど、
すごく申し訳ない気持ちになった。
「…」
せっかくの誕生日なのにあたしときたら無愛想で、
無駄な事は一切何もしゃべらないようにと
頑な態度だし、その上プレゼントもないし。
「俺がそこに座る」
戸惑っているうちに先に下座に座られてしまった。
迷ったけど、
お弁当の入った紙袋をテーブルの端へ置き、
長いソファに肩身狭げに座った。
常務はあたしの複雑な心中など、知る由もないだろう。
冷たく当たり続けているあたしの心は、
実は―――… 大きく揺れていることを。
最初のコメントを投稿しよう!