第10話

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常務は赤ワインをあけ、両方のグラスに1/3くらいまで注いだ。 銘柄とか年代とかそんなものはよくわからないけど ボトルを見る限りは高級そう。 「もらい物だ。  たまたまあったのを思い出したから持って来た」 そんな目で見ていたのを気づかれた。 「俺は、一人の時はワインは飲まないからな」 さらりと言いながらあたしにワイングラスを一つ差し出す。 「あ、私は…」 「乾杯ぐらいしてくれるだろ」 どうしよう、か。 「飲まなくていい。 禁酒中だしな」 皮肉の入った冗談を言う彼の考えが全然読めない。 一体、何を考えているのだろう。
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