第10話

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「どう…して」 あたしはその顔をまともにみられなくて、 逃げるように目をつむる。 「ごめん…なさい」 常務は当然、納得がいかないと思う。 このまま力ずくで押し切られて 最後までされてもおかしくない状況だった。 でも、彼は行為の手をとめ、徐々にあたしの体から離れた。 身を起こし、どかっと音をたたてて、 ソファに座りなおしたようだ。 あたしも続いて上体を起こし、 落ちたパンプスを探して足を入れる。 常務は… 燃え上がった身体と精神を落ち着かすように 両手で顔を覆っている。 その様は、 絶望を味わっている姿に見えて。 胸に杭を打ちこまれた気分になった。
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